抜けた歯を放置するとどうなるかblog

私たちの歯は、単に食べ物を噛むためだけでなく、全身の健康や生活の質に深く関わっています。ところが、虫歯や歯周病、外傷などによって歯を失ってしまった場合、「1本くらいなら大丈夫」と思い、そのまま放置してしまう方も少なくありません。しかし、歯を失ったまま放置すると、見た目だけでなく口腔内や全身にさまざまな悪影響が及びます。ここでは、歯が抜けた後に起こる変化や放置によるリスクを詳しく解説します。

最初に起こる変化

歯が1本なくなるだけでも、口の中では次のような変化が始まります。

  • 隣の歯が移動・傾斜する

    歯は互いに支え合って並んでいます。1本抜けると、そのスペースに向かって隣の歯が少しずつ動いたり倒れ込んだりします。

  • 噛み合う歯が伸びてくる

    噛み合う相手の歯がなくなると、その歯は噛み合う相手を求めて徐々に伸びてきます。結果として歯並びのバランスが崩れます。

  • 歯と歯の隙間が広がる

    隣の歯が動くことで歯間が広がり、食べかすや汚れが溜まりやすくなります。

この段階では「少し噛みにくい」程度で済むかもしれませんが、時間が経つにつれて問題はどんどん広がっていきます。

歯を放置したときに起こりうる9つのリスク

  • 噛み合わせの崩壊

    周囲の歯が動くことで全体の噛み合わせがずれ、歯並び全体に影響します。最初は違和感程度でも、やがてしっかり噛めなくなることがあります。

  • 虫歯のリスク増加

    歯が移動して隙間ができると歯ブラシが届きにくくなり、磨き残しが増えます。その結果、虫歯が発生しやすくなります。

  • 歯周病の進行

    磨き残しや歯石の蓄積は歯周病を悪化させます。さらに噛み合わせの乱れによる過剰な力が歯にかかり、歯周病が急速に進行することもあります。

  • 顎関節症

    噛み合わせの不調和は顎の関節に負担をかけます。その結果、口を開け閉めするときの痛みや関節の音、開口障害などの症状が現れることがあります。

  • 顔貌の変化と老け顔

    歯がないまま時間が経つと、歯を支えていた骨が痩せてしまいます。特に複数本を失った場合、頬がこけたりほうれい線が深くなり、実年齢よりも老けて見える原因になります。

  • 出っ歯になる可能性

    奥歯を失ったままにすると前歯に噛む力が集中し、下の前歯が上の前歯を押し上げ、徐々に出っ歯になることがあります。

  • 頭痛や肩こり

    噛める場所が偏ると筋肉のバランスが崩れ、顎から首、肩にかけて負担が広がります。その結果、慢性的な頭痛や肩こりにつながることがあります。

  • 消化器への負担

    よく噛まずに飲み込む習慣がつくと胃や腸に負担がかかり、消化不良や胃もたれが起きやすくなります。さらに、噛む回数が減ることで唾液分泌が減少し、消化機能の低下にもつながります。

  • 認知症リスクの上昇

    噛むことは脳に刺激を与える大切な動作です。歯を失い噛む力が弱まると脳への刺激が減少し、認知症の発症リスクが高まることがわかっています。研究でも、歯の本数が多い人ほど認知機能が保たれやすいと報告されています。

放置の代償は大きい

歯を失った直後は「食事に困らないから大丈夫」と思っていても、時間が経つほどに問題は深刻化し、治療も複雑かつ高額になっていきます。たった1本の欠損でも、放置すると口腔全体、さらには全身の健康に悪影響を及ぼすことを理解しておくことが大切です。

まとめ

歯を失うことは誰にでも起こりうることですが、その後の対応によって将来の健康状態は大きく変わります。抜けた歯を放置することは、噛み合わせの乱れや虫歯・歯周病のリスク増加、顎関節症、さらには全身への影響まで引き起こします。大切なのは「1本だから大丈夫」と軽視せず、早めに歯科医院で相談することです。

失った歯を補う治療法には、入れ歯やブリッジ、インプラントなど複数の選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の生活習慣や健康状態に合った方法を歯科医と一緒に検討していくことが大切です。

入れ歯・インプラントどっちがいい?