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姿勢の悪化と噛み合わせの関係
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現代人の多くが抱えている「姿勢の悪さ」。スマートフォンやパソコンの使用時間が増え、知らないうちに頭が前に傾いた姿勢を続けている人が増えています。実はこの“姿勢の崩れ”が、顎の位置や噛み合わせに大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。噛み合わせの問題は、歯だけでなく全身の健康にもつながる重要なテーマです。

姿勢と噛み合わせの深い関係とは

人の頭の重さはおよそ5〜6kg。姿勢が前に傾くと、その重みを支えるために首や顎の筋肉に過度な負担がかかります。その結果、下顎の位置がわずかに後方や斜めにずれ、上下の歯のかみ合わせにも微妙な変化が生じます。
こうしたずれは時間をかけて少しずつ蓄積し、顎関節や咀嚼筋に不均衡な力がかかるようになります。つまり「姿勢の乱れ」が「咬合の乱れ」を引き起こし、慢性的な不調へとつながるのです。

姿勢が悪化する主な原因

姿勢の悪化の大きな原因は、生活習慣の中に潜んでいます。長時間のデスクワークやスマートフォン操作は、頭部が前方へ突き出した「ストレートネック姿勢」を作り出します。また、運動不足による体幹の筋力低下や、足を組む・片側で噛むといったクセも、全身のバランスを崩す一因です。
これらの小さな姿勢の乱れが日々積み重なることで、顎の位置や筋肉の緊張に偏りが生まれ、噛み合わせに影響を及ぼしていきます。

姿勢の歪みが噛み合わせに与える影響

姿勢が崩れると、下顎の動きは本来のスムーズさを失い、片側ばかりで噛むような習慣がつきやすくなります。その結果、左右の筋肉の使い方に差が生じ、顎の関節円板(関節のクッション部分)にも負担がかかります。
また、姿勢が傾いたままの状態では咬合力の方向も変化し、歯に偏った力が加わりやすくなります。これが歯のすり減りや詰め物の破損、さらには顎関節症の原因となることもあります。

姿勢の乱れが引き起こす全身の不調

顎のズレや噛み合わせの不均衡は、顎関節症だけでなく、首や肩、背中の筋肉のこわばり、頭痛、めまい、耳鳴りといった症状を引き起こすことがあります。
これは、顎関節を支える筋肉群が首や背中の筋肉と連動しているためです。顎の緊張が首へ、首の緊張が肩や背中へと連鎖し、全身の筋肉バランスを崩してしまうのです。歯科での噛み合わせ調整だけでは改善しないケースがあるのは、この全身のつながりが関係しています。

自分でできる姿勢チェックと改善のポイント

壁に背中をつけて立ったとき、後頭部・肩甲骨・お尻・かかとが自然に壁に触れる姿勢が理想です。頭だけ前に出ていたり、腰が反っていたりする場合は、すでに姿勢が崩れている可能性があります。
日常生活では、椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、両足を地面にしっかりつけることを意識しましょう。また、長時間同じ姿勢を続けないようにし、1時間に一度は軽く首や肩を動かすだけでも、筋肉の緊張を和らげることができます。
さらに、就寝時の枕の高さも重要です。高すぎる枕は顎を後方へ押し込み、関節に負担をかけるため注意が必要です。

歯科医院での姿勢・噛み合わせ評価の重要性

近年、歯科医院では単に歯の高さや形だけを調整するのではなく、顎の動きや頭位、姿勢全体を考慮した咬合診査が重視されています。
当院でも、咬合紙によるチェックのほか、顎の動きを確認しながら筋肉や関節の状態を総合的に評価します。必要に応じて、姿勢のアドバイスや理学療法士との連携を行うこともあります。
噛み合わせのトラブルは、放置すると顎だけでなく全身に広がるため、早期発見・早期対応が大切です。

正しい姿勢が全身の健康を守る

姿勢の悪化は、見た目だけでなく、顎や歯、そして全身の健康にも影響を及ぼします。正しい姿勢を保つことで、顎関節や歯にかかる余分な負担を減らし、噛み合わせの安定にもつながります。
「噛みにくい」「顎が疲れる」「肩こりが取れない」と感じる方は、歯や顎だけでなく姿勢にも目を向けてみましょう。